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道路附属構造物点検

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社会資本メンテナンス元年

平成24年12月の中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故を踏まえ、国土交通省においては、平成25年を「社会資本メンテナンス元年」と位置付け、道路分野においても、急遽、緊急点検・集中点検を実施し、第三者被害防止の観点から最低限の安全性を確認したところである。

道路施設の老朽化問題は、今に始まったものではなく、本稿で扱う道路付附属物に関しても、「国総研資料第685号」によると、国土交通省道路局では平成14年頃から、支柱を有する構造の道路附属物の点検管理方法について研究を進めており、平成22年12月には、「附属物(標識、照明施設等)の点検要領(案)」が定められ、直轄国道においては5年に一回のメンテナンスサイクルが義務付けされ運用されている。

リスクについて

一方、地方公共団体では、老朽化対策を実施する上で予算不足、人不足、技術力不足といった課題を抱えており、対応可能な範囲で進めてきたのが現実である。

このような状況を受けて、メンテナンスサイクルを確定し、持続的にサイクルを回す仕組みを構築するため、平成25年6月に点検基準の法制化、国による修繕代行制度を定めた道路法の改正が行われた。

翌平成26年6月には道路構造物の定期点検要領として、橋梁・トンネル・横断歩道等の各種点検要領が発表され、地方公共団体に対しては技術的助言として、直轄国道に関しては適用として策定されたが、「附属物(標識、照明施設等)点検要領」は直轄適用、地方公共団体に対しては参考と位置づけられ、現在も平成26年6月の点検要領が現行のものとして適用されている。

最近の動向

昨今、最も国道交通省の動向が顕著なものの一つとして、小規模附属物(標識・照明施設等)点検が挙げられる。

既出の平成26年6月の「附属物(標識、照明施設等)点検要領」に先駆けて、平成25年8月に国土交通省関東地方整備局は、平成22年の点検要領案の点検着目点である路面境界部(GL0mm~GL-40mm)における損傷の有無を非破壊で把握できる技術を公募していた。
このフィールド提供型公募に、当時応じた各技術の結果は平成26年6月に公表されたが、何れの技術も公募の要件を100%満たすことはできず、平成26年6月の「附属物(標識、照明施設等)点検要領」に仕様として記載されることはなかった。
しかし、現行の仕様である、設置後20年以上の標識柱、照明柱(路面状態がアスファルト及びインターロッキングのもの)の路面境界部の近接目視は掘削を前提としており、施工業者に時間、費用ともに大きな負担をうむだけでなく、道路利用者にも交通規制等に伴う影響を与えることから、当初から問題視されていた。

平成26年6月の「附属物(標識、照明施設等)点検要領」に非破壊の技術が採用されることは無かったが、平成25年の公募においても、非破壊の技術は、従来の掘削・埋め戻し作業と比較して、工程及びコストの縮減、掘削の前段としてのスクリーニング調査という意味では肯定的評価を得ていた。

このような肯定的評価が、平成28年2月の国土交通省社会資本整備審議会道路分科会道路技術小委員会での新たな小規模附属物に関する点検要領(仮称)の議論を再燃させたのだと推測する。
平成28年2月24日の発表では、道路技術小委員会での調査・検討を受けて今夏にも点検要領(仮称)の策定に向けた結果を報告するとのことである。

この動きに向けて既に平成28年3月28日には、附属物の支柱路面境界部以下の変状を非破壊で検出できる技術の公募について関東地方整備局から発表があり、現在注目を集めている。

上記を踏まえ、現行の要領書に基づくポイント、既に要領書に謳われており活用頂ける機器、今後活用可能性のある機器、その他、点検機器をご紹介します。

附属物点検の目的

点検の第一の目的は、管理する附属物の変状をできるだけ早期に発見することである。第二の目的は、効率的な道路管理業務を実施するために必要な変状の程度の把握を行うことにある。
附属物については、突然の灯具の落下や支柱の倒壊等の事故事例が報告されており、点検においては特にこのような事故に関わる変状を早期にかつ確実に発見できることに、特に注意を払う必要がある。
点検の結果を受けて、発見された変状の部材等又は内容に応じて適切な措置を行うことによって、事故を防止し、安全かつ円滑な交通を確保することができる。

また、蓄積された点検結果を分析することにより、道路管理面から見た附属物の設計・施工上の問題点や改善点が明らかになること、点検そのものの合理化に資することが期待される。このため、取得したデータは適切に保管、蓄積しておくことが重要となる。

点検の頻度

通常点検

道路の通常巡回を行う際に実施する。

初期点検

設置後又は仕様変更後概ね1年を目処に行う。

定期点検

定期点検の頻度は、下表に示す通りとする。

定期点検の頻度

異常時点検

点検が必要とされる附属物を対象に、地震、台風、集中豪雨、豪雪などの異常時に必要に応じて点検を行う。

特定の点検計画に基づく点検

個別に点検計画が作成された附属物を対象に、点検計画で定めた頻度により点検を行う。

附属物点検の流れ

初期点検は、設置後又は仕様変更後概1年を目処に行う。
定期点検は、門型標識等に関しては5年に1回の詳細点検を行う。門型以外の標識等ついては10年に1回の詳細点検、詳細点検を補完する概ね5年に1回の中間点検を行う。

点検の流れ

定期点検の方法

  • 初期点検に関する点検方法は定期中間点検とほぼ同等で点検箇所のみ異なるので割愛する。
  • 定期中間点検は、外観目視を基本とするが、上部に関しては伸縮支柱付きカメラなどを用いるので、近接目視が推奨される。

また、点検において重大な変状が想定される場合は、詳細点検と同様、必要に応じて詳細調査を実施し、対策を検討する必要がある。

衝撃弾性波スキャナー IES
橋梁点検カメラ
NETIS登録番号:KT-160016-A
現地状況により高所作業車などを用いた近接目視が困難な場合に利用可能。ただし、詳細点検におけるボルトのゆるみ確認については、合いマークが施されていても工具を用いた確認が必要。

詳細点検

1. 近接目視

所定の部位に対して点検用資機材を併用して近接目視を行う。必要に応じて、触診や打音等を併用して行う。

2. 詳細調査

近接目視の結果などから必要に応じて実施する調査で、超音波パルス反射法による残存板厚調査、き裂探傷試験、路面境界部の掘削を伴う目視点検がある。

各種詳細調査

1. 支柱のき裂、破断

柱の基部や横梁の基部等に塗膜割れ、めっき割れさび汁の発生などき裂が疑われる場合には、磁粉探傷試験や浸透探傷試験などにより詳細な調査を行い、き裂の有無を確認する。

2. 板厚調査

目視による異常が見られるものや、外観上明らかではないものの腐食により板厚減少が生じている疑いのある箇所に対して、超音波パルス反射法による、残存板厚調査を実施する。対象となる附属物の選定フローが要領書に示されているが、設置後概ね25年以上のものが目安となる。

板厚調査を実施する附属物の選定フロー

板厚調査を実施する附属物の選定フロー

附属物(標識、照明施設等)点検要領 - 国土交通省資料より

超音波厚さ計DM5E DL
超音波厚さ計DM5E DL
附属物の残存板厚調査を行うためには、残存板厚が1㎜程度まで減肉していることを想定すると、オプションの薄物用探触子DA512をセットでレンタルされることをお勧めする。
また、後述する掘削した路面境界部の板厚調査も想定すると、探触子が小型でケーブルが横出しになっているDA512を用いた方が、掘削量が少なくて済む。
腐食によって表面の凹凸の激しい部位に探触子を当てなければならないので、径の小さいものの方が使いやすい。DA512はφ7.5と小型。
附属物の想定される厚さは最小1㎜程度~9㎜程度。
ゆえにオプションの試験片は5段2㎜~10㎜のものが推奨される。

3. 路面境界部等の腐食調査

路面掘削実施の目安

路面境界部等の腐食調査

参考資料 - 群馬県建設技術センターより

(a) 路面境界部が土砂で覆われている場合
雨水等が支柱基部に滞水しやすく、倒壊の要因となるような腐食が生じやすい。このため、人力施工で容易に掘削できる場合には、必ず路面境界部を露出させ状況の確認を 行う。
(b)路面境界部がアスファルトで覆われている場合
雨水等が支柱基部に滞水しやすく、倒壊の要因となるような腐食が生じやすい。
過去の点検結果によると、設置後 20 年以上経過した附属物に倒壊の要因となるような著し い腐食が見られたことから、点検では設置後 20 年以上経過または設置年数が不明な附 属物について必ず掘削を行う。
設置後 20 年未満の附属物にあっては、路面上において 目視できる状況から当該部位の腐食の有無を推定し、腐食の発生が明らかである場合に は、路面をはつり路面境界部を露出させ状況の確認を行う。
(c)路面境界部がインターロッキングで覆われている場合
支柱基部に滞水しやすい構造であることから、アスファルトの場合同様、設置後20年以上経過した附属物に関しては必ず掘削を行う。
(d)路面境界部がコンクリートで覆われている場合
支柱本体や路面付近に腐食等の変状が認められる場合や、コンクリートにひび割れ等が生じ支柱と路面との間に滞水又は滞水の形跡が認められる場合など、路面境界部に腐食の発生が懸念される場合において、コンクリートをはつり点検を行う。
腐食・健全度診断装置コロージョンドクター
腐食・健全度診断装置コロージョンドクター
NETIS登録:KT-150121-A
路面境界部の健全度及び腐食状況を、非破壊で一次スクリーニング調査を可能とした超音波式診断装置。アスファルトやインターロッキングで覆われている支柱でも設置後20年経過後も健全な地際状態のものもあるが、現在一律に掘削する必要がある。
この機器を用いたスクリーニングを行うことで、掘削する必要のない健全なものを掘削対象から外すことが期待される。
また逆に設置後20年に満たない支柱に対しても診断することによって、健全度の判定を行うことができる。
冒頭でも指摘したように、現在このような非破壊の技術が注目されており、今夏策定予定の「小規模附属物に関する点検要領(仮称)」にも何らかの規定として盛り込まれることが期待される。

今後活用可能性のある機器

支柱内部の点検

腐食・健全度診断装置コロージョンドクター
先端可動式ビデオ内視鏡3m VJ-3/STR
照明柱等の電気開口部を利用したファイバースコープによる支柱内部の点検する方法として、 先端可動式ビデオ内視鏡があります。 内視鏡については様々な機種の取扱があるため、参考に比較表 もご覧ください。
また、より安価な管内検査カメラ も活用可能です。

地下の状況を探査

地下レーダー探査システム ユーティリティスキャンDF
地下レーダー探査システム ユーティリティスキャンDF
掘削を行う際に、地下の状況を探査することのできる非破壊機器に、
地下レーダー探査システム ユーティリティスキャンやストラクチャスキャン500 SIR-EZ 3D のようなものもあるので、有効に活用いただきたい。

内部鉄筋の破断

鉄筋破断非破壊診断装置 CPチェッカーM BT
鉄筋破断非破壊診断装置 CPチェッカーM BT
附属物の点検要領には含まれないが、
コンクリート柱における内部鉄筋の破断を非破壊で診断できる機器として
鉄筋破断非破壊診断装置 CPチェッカーがある。


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